Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

へんなおとこ

変な男

豊島 与志雄

Lisez 変な男 (へんなおとこ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 40 508 caractères · 81 écrans

Aozora Bunko

澄子はただ頭を振った。低い母の声までが無気味だった。今井さんは死ぬんじゃないかしら、とそんな気もした。辰代が水を取代えに立ってゆくと、彼女は自分でも訳の分らないことを一心に念じながら、今井の額の手拭を平手で押えてやった。ずきんずきん……という音のようなものが、手拭越しに伝わってきた。

そのうち次第に今井の熱は鎮まってゆくようだった。それでも二人は、夜明け近くまで冷してやった。ごく遠くの方から、かすかなざわめきが起ってきて、寝呆けたような汽笛の音がした。それから暫くたった頃、すやすや眠っていた今井は突然眼を開いてあたりを見廻した。

「お気がつかれましたか。」と辰代は云った。「ひどいお熱でございましたよ。」

今井はぼんやり二人の顔を見比べていたが、ふいに上半身を起しかけた。辰代がそれを引止める間もなく、其処に手をついて頭を下げた。

「有難うございました。」

そして呆気にとられてる二人の前に、はらはらと涙を流した。

「どうなすったのです! 寝ておいでなさらなければいけません。」

きつい調子でそう云いながら、辰代は彼を寝かした。彼はおとなしく頭を枕につけたが、閉じた眼瞼からは涙がにじみ出してきた。