Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
よるのちょう
夜の蝶
山本 周五郎
Lisez 夜の蝶 (よるのちょう) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 345 caractères · 21 écrans
と旅装の客を見た。
「取った宿が遠いもんですから」その客はこう云って、勘定を済ませて立ちあがった。それまで躯の蔭に隠れて見えなかった両掛(昔の旅行用の行李)を取り、飯台の端の老人のそばへいった。老人はまた飯台に俯伏していた。俯伏したままうっうっと、だらしなく泣いていた。
「爺さん」と旅装の客が云った。「いい話を聞かせてもらって嬉しかった。いい話しだった。礼を云うよ」
老人は泣くばかりだった。
「だが、もうその話はしなさんな」とその客は云った。「その話が本当だったとすれば、高次という人は主人の恥を背負ったんだろう。自分が盗みの汚名を衣てまで主人の恥を背負ったんだ――そうだとすれば黙っててやるのが本当じゃないか、そうじゃないだろうか爺さん」
「おめえなんぞに、なにがわかる」老人は俯伏したまま云った。「おらあ口惜しいんだ。ほんとのことも知らねえで、世間のやつらは、いまでも高次の悪口を云いやあがる。なんにも知らねえくせ、しやがって、おらあ、がまんがならねえんだ」
「それでいいんだ、それでいいんだと思う」と旅装の客は云った。「高次という人は、そんなことは承知のうえだったろう。