Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

よるのちょう

夜の蝶

山本 周五郎

Lisez 夜の蝶 (よるのちょう) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 345 caractères · 21 écrans

Aozora Bunko

いつか本当のことがわかるとか、わかって褒められたいなどとは、これっぽっちも考えてはいなかった筈だ。そう思わないか爺さん」

「それがどうしたってんだ」

「黙っててやることだ」と旅装の客はいった。「爺さんが本当のことを知ってると聞いたら、高次という人はよろこぶだろう。一人でも知っていてくれると聞けば、その人はきっと本望だと思うに違いない。それでいいんだ、それでいいんだよ爺さん。もうその話はしなさんな」

「いってえ、おめえは誰だ」と老人は顔をあげた。「おめえは、いってえ、なに者だ」

老人は相手を見た。涙で濡れ、脂の溜った眼でじっと見あげた。旅装の客も、その眼を見返した。それからやさしく頷いた。

「――旅の者だよ」そして静かに出ていった。

行燈にとまっていた蝶が飛びたち、はたはたと舞って、まるでなにかを追うように、出入り口から外へ飛び去った。

「おやじ」と六兵衛が云った。「済まねえがもう一本」

向うの老人は気のぬけたように、茫然と宙を眺めていた。