Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

よなきてっこつ

夜泣き鉄骨

海野 十三

Lisez 夜泣き鉄骨 (よなきてっこつ) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 15 273 caractères · 31 écrans

Aozora Bunko

「じゃ、何て薬だい」

「そいつは、云うのを憚る――」

「教えねえというのだな」

「仕方が無い。これァ薬屋仲間で、御法度の薬品なんだ」

「御法度であろうと無かろうと、わしは、訊かにゃ、唯では置かねえ」

「脅かしっこなしにしましょうぜ、組長さん。そんなら云うが、この薬の働きはねえ、人間の柔い皮膚を浸蝕する力がある」

「そうか、柔い皮膚を、抉りとるのだな」

「それ以上は、言えねえ」

「ンじゃ、先刻みせた注射器の底に残っていた茶色の附着物は、この薬じゃなかったかい」

「さァ、どうかね。これは元々茶褐色の液体なんだ。ほら、振ってみると、硝子のところに、茶っぽい色が見えるだろう」

「それとも、やっぱりあれは、血のあとか。いや大きに、御苦労だった。こいつは、少ないが、当座のお礼だ」

そう云って、わしは、十円紙幣を、横瀬の手に握らせ、今日のことは、堅く口止めだということを、云いきかせたのだった。

4

いよいよ、夜は更けわたった。

月のない、真暗な夜だった。風も無い、死んだように寂しい真夜中だった。

かねて手筈のとおり、工場の門衛番所に、柱時計が十二の濁音を、ボーン、ボーンと鳴り終るころ、組下の若者が、十名あまり、集ってきた。