Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ゆめとじんせい

夢と人生

原 民喜

Lisez 夢と人生 (ゆめとじんせい) de 原 民喜 (はらたみき) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 136 caractères · 19 écrans

Aozora Bunko

夢のことを書く。お前と死別れて間もなく、僕はこんな約束をお前にした。その時から僕は何も書いていない夢に関するノートを持ち歩いているのだ。僕は罹災後、あの寒村のあばら屋の二階で石油箱を机にして、一度そのノートに書きかけたことがある。が、原子爆弾の惨劇を直接この眼で見てきた僕にとっては、あの奇怪な屍体の群が僕のなかで揺れ動き、どうしても、すっきりとした気持になれなかった。そうだ、僕はあの無数の死を目撃しながら、絶えず心に叫びつづけていたのだ。これらは「死」ではない、このように慌しい無造作な死が「死」と云えるだろうか、と。それに較べれば、お前の死はもっと重々しく、一つの纏まりのある世界として、とにかく、静かな屋根の下でゆっくり営まれたのだ。僕は今でもお前があの土地の静かな屋根の下で、「死」を視詰めながら憩っているのではないかとおもえる。あそこでは時間はもう永久に停止したままゆっくり流れている……。

僕は夢のノートを石油箱の上に置いて思い耽けっていた。僕のいる二階は火の気もなく、暗い餓じい冬がつづいていた。と、ある日、はじめて春らしい日が訪れた。快い温度がじっと蹲っている僕にも何かを遠くへ探求させようとするのだった。