Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

むゆうびょうしゃのし

夢遊病者の死

江戸川 乱歩

Lisez 夢遊病者の死 (むゆうびょうしゃのし) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 121 caractères · 22 écrans

Aozora Bunko

身体を拭くことも出来やしない」

何といって見ても、彦太郎が黙っていて答えないので、父親は仕方なく、よっこらしょと立上って、勝手許へ下りて、ゴソゴソと夕餉の支度にとりかかるのであった。

その気配を感じながら、じっと机の前の壁を見つめている彦太郎の胸の中は、憎しみとも悲しみとも、何とも形容の出来ない感情の為に、煮え返るのである。天気のよい日なれば、こういう時には、何も云わずにプイと外へ出て、その辺を足にまかせて歩き廻るのだけれど、今日はそれも出来ないので、いつまでもいつまでも、雨もりで汚れた壁と睨めっくらをしている外はない。

やがて、鮭の焼いたので貧しい膳立てをした父親が、それ丈けが楽しみの晩酌にと取りかかるのである。そして、一本の徳利を半分もあけた頃になると、ボツボツと元気が出て、さて、お極りのお談義が始まるのだ。

「彦太郎、一寸ここへお出で、……どういう訳で、お前は俺のいうことに返事が出来ないのだ。ここへ来いといったら来るがいいじゃないか」

そこで、彼は仕方なく机の前に坐ったまま、向き丈けを換えて、始めて父親の方を見るのだが、そこには、頭の禿と、顔の皺とを除くと、彼自身とそっくりの顔が、酒の為に赤くなって、ドロンとした目を見はっているのである。