Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おおとりものせんにんつぼ
大捕物仙人壺
国枝 史郎
Lisez 大捕物仙人壺 (おおとりものせんにんつぼ) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 47 606 caractères · 97 écrans
小屋者にも浪士達にも、大半逃げられてしまったのであった。
伊太郎と紫錦が蘇生したのはそれから間もなくのことであった。二人は顔を見合わせてかつ驚きかつ喜んだ。紫錦は伊太郎の命の親であった。伊丹屋としても粗末に出来ない。それに彼女が属していた例の軽業の一行は、今は行衛不明であった。いわば彼女は宿なしであった。で伊丹屋では娘分として彼女を養うことにした。
信濃の春は遅かったが秋の立つのは早かった。湖水の水が澄みかえり八ヶ嶽の裾野に女郎花が咲いた。虫の鳴音が降るように聞こえた。この頃伊丹屋では諏訪を引き上げ江戸の本宅へ帰ることになった。
さて、ところで、紫錦にとっては、江戸の本宅の生活は、かなり窮屈なものであった。ジプシイ型の彼女から見れば、まるで不自由そのものであった。ちょっと外出にも女中が付き、箸の上げ下げにも作法があった。
「簡単」ということが卑しまれ「面倒臭い」ということが尊ばれた。膝を崩すことも出来なければ寝そべることも出来なかった。あらゆるものに敬語を付け、呼び捨てにするのを失礼とした。「お箸」「お香の物」「お櫛」「お召物」――
彼女は繁雑に耐えられなくなった。