Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lisez 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 74 962 caractères · 145 écrans
「おや!」
お雪は一方ならずあわてました。
「先生、お休みでございますか」
でも、やっぱり何ともいらえがない。
「ほんとうに……眠っておいでなさるんでしょうか、先生」
お雪は狼狽の上に、不安の心をうかべて、井戸側深くのぞき込むようにすると、人の姿はいよいよ、ありありと見えるけれども、一向にうけこたえのないことが、またいよいよ明瞭であります。
本来、鎧櫃の中というものは、一匹一人の人間を容れるには足りないものであります。せいぜい十代の少年ならばとにかく、普通の大人一人が、鎧櫃の中にいることは至難の業であります。ましてその中で酣睡を貪るなどということは、あり得べきことではありません。
それだのに、ありありと見える中の人は、立派な一人の成人であって、それは身体骨柄痩せてこそいるけれども、月代はのびてこそいるけれども、押しも押されもせぬ中年の男性が、身にはお雪と同じような白羽二重に、九曜の紋のついているのを着て、鎧櫃の一方の隅に背をもたせかけて、胡坐をくみ、そうして、蝋鞘の長い刀を、肩から膝のところへ抱くようにかいこみ、小刀は腰にさしたままで、うつむき加減に目をつぶっているのであります。