Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lisez 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 285 635 caractères · 558 écrans
「ああ眠い……」
と言って、脱兎のように兵馬の寝床へもぐり込み、夜具をかぶってしまいました。
ああ、これでは、また虎を山へ追い込んだようなものだ。
ああ、手がつけられない! 兵馬も、うたた感心して、闖入者というものの扱いにくいことを、今更しみじみと身に覚えたのでしょう。
この闖入者は、食に飢えたのではない、眠りに飢えているのだ。色欲よりは食欲、食欲よりは睡眠欲が、人間に堪え難いと聞いた。
自分の寝床へもぐり込まれてしまって、兵馬は、唖然として舌をまいたけれども、こうなってみると、かえっておかしくもあり、同情心も出て来るので、この上にいっそう荒々しく、夜具を引きめくって、女をつまみ出そう、という気にはなれません。
かえって、まあ、寝るだけ寝させておいてやれ、という気になりました。
兵馬には、人に同情し易い癖がある、癖というよりも、これは徳といってしかるべきものかも知れない。自分の足場のかたまらないうちに、他に対しての同情は禁物――とそれは兵馬も充分に心得ておりました。
充分に心得ながら、ツイ吉原へ足が向くようになったのは、そもそもこの同情がいけなかったのだと、のぼせきっているうちにも、よくその理解はついておりました。