Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Lisez 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 285 635 caractères · 558 écrans

Aozora Bunko

「けがらわしいよ」

お絹はよほど、癇にこたえたと見えて、いったん火鉢の中へ納めた火の、かんかん熾ったのを二度、火箸の先でツマみ上げて、今度はいささかの情け容赦もなく、ゾロリとした羽織の袖をひっぱった上へ載せると、ゾロリとした羽織がジリジリと音を立て、むんむんと臭いと煙を立てて焦げはじめました。

「こいつは堪らない、これこそ真に驚きました」

金公は、天下の一大事とばかりに、その火を払い落しにかかると、因果なことにはそれが膝の上へ落ちたものだから、みるみる膝の上が焦げ出して、

「熱! 熱! 火水の苦しみ」

と叫びを立てました。しかし、お絹はよくよく腹に据え兼ねたと見えて、それほどに苦しがる金公の羽織の袖を少しも放さず、第二の炭火を取って、今度は左の方の袖へのっけてしまいました。つまり火事が三方から起ったわけですから、金公、悲鳴を上げて苦しがり、

「おいたずらが過ぎます、いくら金公にしましても、これはあんまりでございます、もうこの羽織は着て行かれません、この羽織を両国へでも着て行ってごろうじませ、それこそ焼き殺されてしまいます、ああ、どちらへ廻っても絶体絶命でございます、おゆるし下さい、この通りでございます」