Classiques japonais avec furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lisez 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 285 635 caractères · 558 écrans
しかも、思い止まろうかと言い出したお松に、思いとどまる気のないように、どうでもいいことのように、返事をした与八にも、必ずしもどうでもいいとは、あきらめ切れないことでしょう。
そこで、お松は、何ともつかずにこう言いました、
「ねえ、与八さん、もし、お前の本当のお父さんという人が、悪い人だったら、どうしますか」
そこで与八が、
「悪い人だって、親は親だからなあ」
と返答しました。
「でも、その悪いというのが、ただ喧嘩が好きだとか、お酒のみだとかいうばかりじゃなく、もしかして、悪い罪を犯している人だったらどうします」
「悪い罪を犯したって、犯さなくったって、血を分けた親子の縁というものは、切っても切れねえだろう、ねえ、お松さん」
与八は食事を終って、箸を下に置きながらこう言いますと、お松が、
「それは、そうに違いないけれど、もしかして、そんな人であったなら、いっそ、尋ねない方がいいじゃないかしら」
「どうしてね」
「せっかくの与八さんまでに、迷惑がかかるといけませんからね」
「そうかなあ」
与八の面の色が少し曇ります。それを慰め面にお松が、
「ねえ、与八さん、生れぬ先の父ぞ恋しきという歌を御存じでしょう、生みの親も大事だが、それよりも大事なのは、生れぬ先の親だと、大禅師が説教でおっしゃったのを、お前も聞いていたでしょう」