Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

Lisez 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 368 567 caractères · 720 écrans

Aozora Bunko

「それは有難うございます。実は信濃の国の白骨の湯というのが、たいそうよく効くという話でございますから、それへ、この子を連れて行ってみようとも思いましたが、何を申すにも、時も時、所も所、私たちだけではどうすることもできませぬ」

「ははあ、白骨とはどちらか存じませぬが、そういう次第ならば、拙者が喜んでおともを致しましょう、どうです伊津丸殿」

病人の方へ向き直り、

「湯治に行く気はござりませぬか」

と言われて伊津丸は天井の一方を、涼しい目でじっと見詰めながら、

「湯治に行くよりは、私は肥後の熊本へ行きたいのです」

「はて、肥後の熊本」

と梶川が小首をかしげるのを、奥方がひきとって、

「肥後の熊本は先祖の地だということで、この子はそのことばかり申しております。同じ湯治をするならば、肥後の阿蘇山の麓、また同じ死ぬるならば熊本の本妙寺の土になって、御先祖の清正公の魂にすがりたい、なんぞと口癖のように申していますから、いつもそれをわたしが叱っております」

「ははあ、伊津丸殿は拙者と共に道場通いを致した時も、よく左様なことを申されました」

「はい、この子はどうしたものか肥後の熊本を、先祖の地、先祖の地、と言いますけれど、本当に先祖の地は、この尾張の国だということが、どうしても分らないで困ります。