Classiques japonais avec furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lisez 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 268 946 caractères · 520 écrans
その話は――
昔、相吾の与次郎という法外鉄砲をブツことの上手なかりうどがあった。
その近所に大猿が現われ、畑を荒したり、鶏をさらったり、ひどいワルサをして困った。
それから村中総出で、近辺の山の中を残らず狩り出したが、猿のさの字も見えず、ただ山奥でチラリと見たという者は二三人あったが、その誰も彼も、その猿の手は真白だったと言うので、いつとはなしにその猿を「手白猿」と呼ぶようになった。
手白猿のワルサは日に増し劇しくなって行くばかりなので、領主の殿様も大へん腹を立て、
「あれしきのものが撃ち取れぬとあっては俺の恥だ、ぜひとも捕まえて来う」
と、家来を呼んで厳しく言いつけた。
家来たちは困り果てて、いろいろの評議の末、御領内を方々探したところ、与次郎の話を聞いて、
「これこれの法外上手な狩人があるから、猿はこれに撃たしたらようございましょう」
と殿様に申し上げた。すると殿様も、
「それじゃあ早速、その者を呼び出せ」
ということで、与次郎は殿様の前へ呼ばれた。殿様は、
「これ与次郎、手白猿はどうでも貴公が撃ち取ってくりょ、そうしれば褒美はなにほどでもやる」
と言った。