Classiques japonais avec furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Lisez 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 242 044 caractères · 477 écrans
その怖ろしかった記憶は、躑躅ヶ崎の古屋敷で、酒乱の神尾主膳に脅迫された時、伯耆の安綱の名刀を抜いて迫り来る神尾主膳、それを逃れて走り下りた二階の階段、そこには善悪邪正いずれとも判別しかねる人がいた。
理も非もなくその人に縋りついて助けを求めた時、その鉄壁のような冷たさと、吸盤のような引力に吸い込まれて、その夜、ついに怪しい二つの蝶の夢を見て、夜が明けた時は、肌がすっかりと汗ばんで、髪がべっとりと濡れていました。
その時以来、そのつめたい人がこの胸を火のように燃やす。ひとたび愛人幸内を失ったお銀様には、たまらない肉のもだえがある。わが雇人であった幸内を、身も心も自由にしていたように、お銀様は、その人に、わが心も、わが身も自由にし、自由にさせていた。その持っていたつめたい残忍性が、お銀様を翻弄する時に、お銀様もまた、残忍そのものを翻弄する痛快心に駆られて、この女だけが人を斬ることを知って、少しもおそれなかったのです。最初の縁は躑躅ヶ崎の古屋敷。
「ああ、あの蝶の羽風が……」
悪夢の中に、どろどろにもだえたお銀様は、力かぎりその人にしがみつくと、夢が破れて、おどろいたのは自分の胸に重い物。