Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

Lisez 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 242 044 caractères · 477 écrans

Aozora Bunko

いつになっても、蠱惑的な若さを持ったお絹の面と、眉間の真中に大傷を持った自分の面とが、鏡面に相並んで浮び出でたのを見た神尾は、クラクラと眼がくらむのを覚えました。

「ああ、なんという醜い面だ」

神尾は腹の底から、自分の生れもつかぬ傷を呪いました。お絹の面が、見るたびに色っぽくなってゆくにひきかえて、自分は生涯、人中へはこの面を出されはしない。

弁信が憎い。おれの面体にこの傷をつけたのは、あのこましゃくれの、お喋りの、盲目の小法師の仕業だ! そこでいつもきまって、弁信というものを憎み呪うのが例になっている。

「ずいぶん大きな傷でございましたわね」

とお絹も、この鏡にうつる傷の大きさを、いまさら驚いた様子です。

「愛想が尽きるだろう」

「なあに、あなた……」

この舌たるい言葉を、神尾は二様の意味で聞きました。一つは傷などはどうあろうとも、面付などは、いかに拙かろうとも、男でさえあればたんのうしますよという意味にも聞え、もう一つはなにそのくらいの傷は、あなたの男ぶりの全体には少しもさわりにはなりませんよ、という意味にも聞える。

この傷が癪にさわるから、神尾は、日ごろつとめて鏡を見ないことにしていました。