Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

Lisez 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 242 044 caractères · 477 écrans

Aozora Bunko

しかし、太夫元のお角は、興行が成功したほどに嬉しそうな面を見せないで、どうかすると癇癪を起して当り散らすこともあるようです。といって、そのくらいはどうも仕方がない。最初の期待では、まかりまちがえば骨になるくらいの度胸をきめていたのが、せっかく彫り上げた骸骨に牡丹の刺青が役に立たず、諸肌押しぬいでタンカを切る物凄い場面も見せないで済んだのが、何よりというものです。

お松、与八、ムク犬の一行が、回向院の墓地についた時分は、ちょうど、千秋楽の追出しの時刻で、今しも、場内にのまれていた幾千の観客が、潮のように吐き出される時でした。

「オレのだい、オレのだい、オレの下駄だようッ」

下足場の人ごみの中で、おそろしく下卑た太い声でわめき出したのが、キッカケで、そこから大混乱が起ったところです。

なんでも下駄を間違えたやつを、一人がなぐり飛ばしたのが原因で、芋を揉むような下足場が、忽ち修羅の巷となってしまいました。

そこで、取組み合い、なぐり合い、引掻き合いが見ているうちに起り出し、女子供は泣きさけんで救いを求めるの有様です。

高いところで見ていたお角は、直ぐにその目の下の混乱によって、また始めやがったなという苦々しい表情です。