Classiques japonais avec furigana
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ぶにんりしょうき
夫人利生記
泉 鏡花
Lisez 夫人利生記 (ぶにんりしょうき) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 693 caractères · 26 écrans
「見せようか。」
仰向けに、鐘を見つつ、そこをちらちらする蜻蛉に向って、自棄に言った。
「いや、……自分で拝もう。」
時に青空に霧をかけた釣鐘が、たちまち黒く頭上を蔽うて、破納屋の石臼も眼が窪み口が欠けて髑髏のように見え、曼珠沙華も鬼火に燃えて、四辺が真暗になったのは、眩く心地がしたからである。――いかに、いかに、写真が歴々と胸に抱いていた、毛糸帽子、麻の葉鹿の子のむつぎの嬰児が、美女の袖を消えて、拭って除ったように、なくなっていたのであるから。
樹島はほとんど目をつむって、ましぐらに摩耶夫人の御堂に駈戻った。あえて目をつむってと言う、金剛神の草鞋が、彼奴の尻をたたき戻した事は言うまでもない。
夫人の壇に戻し参らせた時は、伏せたままでソと置いた。嬰児が、再び写真に戻ったかどうかは、疑うだけの勇気はなかったそうである。
「いや、何といたしまして。……棚に、そこにござります。金、極彩色の、……は、そちらの素木彫の。……いや、何といたして、古人の名作。ど、ど、どれも諸家様の御秘蔵にござりますが、少々ずつ修覆をいたす処がありまして、お預り申しておりますので。