Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
うしなわれたはんしん
失われた半身
豊島 与志雄
Lisez 失われた半身 (うしなわれたはんしん) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 545 caractères · 21 écrans
学校で、おれに言葉をかけて何か話をしたがってる様子だったのを、おれが素気なく振り切った。そのことが原因だったのだろうか。そのくせ、彼はクラスのまあ秀才で、週に一回はたいてい逢ってる、ということははっきり分っていたのである。だから実は、彼に敬意を表する気持ちよりも、久闊を叙する気持ちから、ウイスキーをふるまってやったものらしい。
おれの気附薬を混じたコーヒーを、彼はうまそうもなく、然し恐縮そうにすすった。酒は好きでないらしい。長髪は油っ気が少いが艶がよく、痩せがたの顔は蒼白く、精神も蒼白いようだし、近眼鏡の奥の瞳は美しく澄んでいる。その顔を、おれはじっと眺めた。
「今日、学校で、僕に何か用があったんじゃない。」
彼ははにかんだような微笑を浮かべて、頭を振った。
「いや、用があったんだろう。」
揶揄するように言ったつもりだが、彼は突然、きらりと光る感じの眼をおれに向けた。
「用というほどのことではないが……ちょっと、永田のことを聞きたいと思って……。」
「永田って、あの、永田澄子のことかい。」
「うむ。」
それは、意外だった。永田澄子というのは、同学の二人の女学生のうちの一人で、髪をおかっぱにした小柄な、まあ少女だ。