Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きかいなさいかい

奇怪な再会

芥川 竜之介

Lisez 奇怪な再会 (きかいなさいかい) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 20 996 caractères · 43 écrans

Aozora Bunko

牧野の妻が訪れたのは、生憎例の雇婆さんが、使いに行っている留守だった。案内を請う声に驚かされたお蓮は、やむを得ず気のない体を起して、薄暗い玄関へ出かけて行った。すると北向きの格子戸が、軒さきの御飾りを透せている、――そこにひどく顔色の悪い、眼鏡をかけた女が一人、余り新しくない肩掛をしたまま、俯向き勝に佇んでいた。

「どなた様でございますか?」

お蓮はそう尋ねながら、相手の正体を直覚していた。そうしてこの根の抜けた丸髷に、小紋の羽織の袖を合せた、どこか影の薄い女の顔へ、じっと眼を注いでいた。

「私は――」

女はちょいとためらった後、やはり俯向き勝に話し続けた。

「私は牧野の家内でございます。滝と云うものでございます。」

今度はお蓮が口ごもった。

「さようでございますか。私は――」

「いえ、それはもう存じて居ります。牧野が始終御世話になりますそうで、私からも御礼を申し上げます。」

女の言葉は穏やかだった。皮肉らしい調子なぞは、不思議なほど罩っていなかった。それだけまたお蓮は何と云って好いか、挨拶のしように困るのだった。

「つきましては今日は御年始かたがた、ちと御願いがあって参りましたんですが、――」