Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

Lisez 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 177 caractères · 22 écrans

Aozora Bunko

もう一つ、舞台裏の稽古ピアノで、バッハの『前奏曲と遁走曲=ハ長調』を弾いたのが誰だと仰しゃるのですか? ――それは今日まで秘密になっておりましたが、実は左近倉平の二度目の夫人で、左近倉平に捨てられた女流ピアニストの伊井法子その人だったのです。伊井法子は左近倉平に騙され捨てられて、その一生をめちゃめちゃにしてしまったが、なんとかして前の夫の倉平に反省させ、犠牲の花嫁銀子にも傷をつけず、復讐の鬼になっている深沢深も助けたいと思い、楽屋に駆け込んで、あの神聖な曲を弾いたのだそうです。

伊井法子は、前夫の左近倉平が、三室銀子に楽壇を断念させて、自分の懐へ飛込んで来るように、特殊の水銀剤を呑ませて、あの美しい声をつぶさした、恐ろしい秘密まで知っているのでした。

深沢深は驚くべき天才でした。私は併し『呪いの曲、結婚ラプソディ』の出来栄えをほめ称えるためにこの話を申し上げるのではありません。私は実にこの世の中にはヨハン・セバスチャン・バッハの音楽のような、神聖なものがあるということを知って頂きたかったのです」

話し手の小塚金太郎は、呆気にとられている聴衆の顔を見渡しながら、満足そうに壇を下るのでした。