Classiques japonais avec furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lisez 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 713 caractères · 28 écrans
それまでゆっくり話そうではないか、ね寿美子さん」
卓二は落着き払って、天蓋付の豪華な寝台――かつて夢子が刺されたあの寝台の上に腰をおろしたのです。
「――――」
寿美子は黙ってその前に立って居りましたが、この恐ろしい手籠の罠に陥ちながら、不思議なことに驚きも騒ぎもせず、冷然として、小杉卓二の勝ち誇った顔を見詰めているのです。
「寿美子さん、もう観念したと見えるね。それが上分別だ。二た月でも三月でも、この小杉卓二と同じ屋根の下に住んでいて、世間ではあなたを純潔だとは見てくれまい、――変な眼で見られるよりは、思い切って私と結婚してはどうだ」
小杉卓二は言うだけの事を言い終ると、静かにポケットを探って、パイプを取出します。
「小杉さん」
寿美子はもうこの兇暴な相手をお兄様とは呼びませんでした。
「?」
「小杉さん、あなたは、二重結婚をする積りですか」
寿美子の言葉はあまりにも予想外です。
「何をいうのだ、寿美子さん」
「いえ、あなたは、同じ女と二度結婚しようとするのですか」
寿美子は卓二の前に真っ直ぐに立つと、その指を挙げて、卓二の顔のあたりをピタッと指したのです。