Classiques japonais avec furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lisez 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 841 caractères · 22 écrans
二
「殿、――恐れ乍ら当国は日本全土にも比類の無い美人国で、草深く埋もれている美色の数限りも御座いません。野に遺賢を求めたのは昔の名君ですが、今の世には賢人顔をしている気六ずかしい遺賢などは探し出してもなんの役にも立ちません。それよりは御領内から絶世の佳人を捜出し、御傍に召仕われては如何でございましょう」
三文字紋弥は、この様な途方も無いことを、何んの遠慮もなくヌケヌケと言える男だったのです。
「それは面白いな、ただ、お金の方がうるさいだろう」
大膳正は、道楽指南番のお金の方には、まだ多少の遠慮はありました。
「無用の御遠慮でございます。殿の御威勢を以てして、叶わぬ望がありましょうか。ましてこれをかれこれ申すような者は――恐れながらお耳を――」
三文字紋弥はなにを吹込んだかわかりませんが、それから三日経たないうちに、さしも城内に桃色の権力を揮ったお金の方が、黒板に書かれた文字を拭き消したように、城内からその妖艶な姿を掻き消してしまいました。
二
三文字紋弥は多智多才で、この上もなく悪魔的な意図の持主でした。摺れっ枯しの、爛熟し切った美女お金の方に代るものは、野の花のように素朴で、野の花のように純粋でなければならないと気が付くと、美人狩出しのために特別な役人を置き、御領内何百ヶ村を毛見の衆のように探し廻らせました。