Classiques japonais avec furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lisez 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 841 caractères · 22 écrans
その結果見付け出したのが、枝からもぎ取ったばかりの、桃の実のようなナイーヴな娘、その名もお桃の方というのでした。珍し物好きの大膳正の寵愛は、まことに眼に余るばかりで、御城中、わけても長局を桃色に湧き立たせましたが、それも併し長く続いたわけではありません。
翌る年の春、参観交代で江戸へ出府することになった大膳正は、悪戯っ児が飽きた玩具を打ち壊すように、何んの未練もなく、三文字紋弥に命じて、お桃の方の存在を抹消してしまったのです。
江戸の一年は、阿武隈大膳正にとっては、まことに窮屈な一年でした。御三家筋から押付けに貰わされた奥方は、相当美人ではあったが、やかましくて、気むずかしくて、その上、宏大な権力を振り廻して居たので、大膳正と雖も、うっかりした事は出来ず、それに江戸表は公儀の眼が光っているので、物の利害を読むことに聡い大膳正は、大して羽目を外すようなこともしなかったのです。
だが、一たび江戸から解放されて、領内へ帰ると話は別です。早速三文字紋弥を呼んで、もう一度領内の美人を刈り出すように申し付けました。それを待って居ましたとばかり、
「恐れ乍ら、唯御領内の美人を漁るだけでは興が薄う御座います。