Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おくのうみ
奥の海
久生 十蘭
Lisez 奥の海 (おくのうみ) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 005 caractères · 26 écrans
話に聞く、冥土の朝景色は、こんなふうでもあろうかと思うばかりだった。
利根の水際に、何百人とも知れぬ人間が転がっていて、ときどきだるそうに起きあがって水を飲む。
渡守の話では、水を飲む力があるうちは、あんなふうにしていて、いよいよ最後だと思うと、川に身を投げるのだ、といった。
離散したのか、死に絶えたのか、人気のない村があった。いましがた家を出て行ったというように、雨戸も障子も開けはなされ、背戸に、あじさいの花が咲いている。喜連川から郡山までの間に、そんな村がいくつもあった。
郡山の目抜の辻に大釜をすえ、なにかさかんに煮くたらし、茶碗を待った世話人が、
「御接待、御接待」
と通るものに呼びかけている。なにを接待するのだろうとのぞいて見ると、白湯が湯玉をあげてたぎっているだけであった。
郡山をすぎると、いよいよ話通りの地獄めぐりになった。
福島から笹木野に分れる石高道に、肋骨ばかりに痩せさらばえたのが、幾十人となく倒れている。足音をききつけると、枯葉のような薄い掌をさしのべて、
「おくれ、おくれ」
と消えるようにつぶやく。
かまわずに進んで行くと、往還の両側の薄闇の中から、いくつも手が出る。