Classiques japonais avec furigana
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おんなこうしゅ
女坑主
夢野 久作
Lisez 女坑主 (おんなこうしゅ) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 879 caractères · 26 écrans
ええ。どうぞ願います。こっちは大丈夫よ。ホホホ」
眉香子は平然として受話機を掛けながら青年をかえりみた。
「二箱でいいんですね」
青年は返事の代りにピョコンと勢いよく立ち上った。卓子を一廻りして眉香子の真正面から接近くと、眉香子の両手を自分の両手でシッカリ握り締めた。感激の涙をハラハラと流した。
「……ありがとう……御座います。感謝に……堪えません」
「まあ。あんなこと……わたくしこそ感謝に堪えませんわ。わたくしみたいな女を見込んで下すって……」
といううちに立ち上って青年の両手をシッカリと握り返した。青年は肩をすぼめて身震いした。眉香子の魅力に包まれたように……けれども間もなく静かに、その手を振りほどいた。二、三歩後に下って恭しく一礼した。
「それでは……これで……お暇を……この御恩は死んでも……」
「アラマア……」
眉香子は追いかけるように二、三歩進み出た。強いて青年の手を取って、今まで自分が坐っていた椅子に、青年の身体を深々と押し込んだ。
「まだ、荷物とチェッキが出来ないじゃ御座いませんか。それまで、どうぞ御ゆっくりなすって下さいませよ」
「……でも……それはアンマリ……それに私は今夜のうちに門司に出て、明朝早く荷物を受け取って、明後日、神戸の……」