Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おんなごころのつよければ

女心の強ければ

豊島 与志雄

Lisez 女心の強ければ (おんなごころのつよければ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 47 011 caractères · 94 écrans

Aozora Bunko

裏山の頂からは富士山がよく見えたが、それももう彼には面白くなかった。

「こんど、天城山に登ってみましょうか。」

それも気まぐれらしいが、天城山なら彼も気が惹かれた。

「行ってもいいですね。」

もう話を元に戻すすべはなさそうだった。

彼は残りの酒を飲み、本館へ湯にはいりに出かけた。

彼女の言ったことすべてが、本当のようでもあり、嘘のようでもあった。何の手掛りもなく、掴みどころがなかった。

霧のはれるまで……彼はそれを思い出して、口の中で呟いた。

霧はじっさいはれかかっていた。ぼーっと日の光りがさしていた。

長谷川はもうなんにも考えないことにきめ、無心の気持ちを求めて、ぶらぶら歩いた。松月館にいっても、むっつりと黙りこみ、そして長々と湯に浸った。帰りは田舎道を遠廻りして、農家の鶏小屋などを覗いて廻った。

そして事もなく日が暮れ、早めに戸締りをしてしまった千代乃と、またちょっと酒を飲んだ。御飯は食べる気になれなかった。

天城登山のことなどを、何気なく話しあった。

「天城山の渓流には、沢蟹がいますか。」

「いますでしょう。」

「この辺には、ちっともいませんね。」

本館からの帰りに、長谷川は沢蟹を探したが、一匹も見つからなかったのである。