Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おんなごころしゅうい
女心拾遺
矢田 津世子
Lisez 女心拾遺 (おんなごころしゅうい) de 矢田 津世子 (やだつせこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 514 caractères · 36 écrans
それがくせになって、この頃では、母が起きないですむ晩でも、自分だけ眼が覚めて用を足しに行く。家にいる時も、母の体だけは人手にまかされぬ気がして、夜中に何度も二階の自分の部屋から覗きに降りて見る。そして、切角熟睡している母を無理に起して、厠へ同行を強いたりした。
母子のものが留守がちなので、その家事を托する人が必要になって、夫人の遠縁からおつねさんという中年増の後家さんを招んだことがあった。お針達者な上に炊事のことも仲々行き届いていて、家人はおつねさんを重宝がるのだった。
五、六年前のことだった。夏休みを利用して片瀬の別荘へ行っていた母子のものが、予定よりも二、三日早目に家へ戻ると、稀らしく大玄関に唐沢氏の靴が脱いである。夜分は家に居ることのなかったこの頃の唐沢氏だったので、夫人は意外な感じにうたれた。ひとつには、いつも走り出迎えてくれる女中たちやおつねさんの姿の見えないことだった。慶太郎が、「おい、おい」と呼ばわりながら女中部屋から座敷の方まで見て歩いた。離れの方で物音がして、おつねさんが出てきた。
「お帰りあそばせ」
丁寧にこうお辞儀をするその櫛目のはいったばかりの頭髪へ夫人の眼がいった。