Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おんなごころしゅうい
女心拾遺
矢田 津世子
Lisez 女心拾遺 (おんなごころしゅうい) de 矢田 津世子 (やだつせこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 514 caractères · 36 écrans
普段は、「慶太郎様」と呼びなれているのに、こうしたくだけた座ではきっとこの「お坊ちゃま」が出る。まるで、おどけにわざと出すようなものである。夫人にはそれが不愉快だったけれど、唐沢氏や慶太郎には耐らなく愛嬌にきこえるらしかった。
「北風」の時、夫人の手は稀らしく上首尾で、二萬一枚を待って上りである。夫人はその一枚を心おどらせて待った。二度も上ったおしもへ挑みかけるような気もちである。その待ちかねていた二萬を唐沢氏が捨てた。
「」
と叫んで手を出しかけた時、横からおしもの手がのびて牌を抑えた。
「おしもの方が先きだね」
唐沢氏が云った。
「おしもの方が早かったよ」
そして、牌をおしもの方へ押しやった。不意に老夫人が座を立った。
「あんまりです」
云うたかと思うと、嗚咽をあげながら不自由な足を曳きずって部屋を走り出た。
「お母さん、どうしたんです、お母さん」
慶太郎が追うた。
老夫人は足袋はだしのまま庭へ下りたところであった。
五
そんなことが慶太郎から横尾の方へも洩れて、おしもの縁談が急に捗ってきた。面倒なことにならぬうちに、と園子は独りで気を揉むのである。