Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ようば
妖婆
Lisez 妖婆 (ようば) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 37 473 caractères · 73 écrans
」と、云い切ったろうじゃありませんか。かっとしたのは新蔵で、さてこそ命にかかわると云ったのは、この婆の差金だろうと、見てとったから、我慢が出来ません。じりりと膝を向け直すと、まだ酒臭い顋をしゃくって、「大凶結構。男が一度惚れたからにゃ、身を果すくらいは朝飯前です。火難、剣難、水難があってこそ、惚れ栄えもあると御思いなさい。」と、嵩にかかって云い放しました。すると婆はまた薄眼になって、厚い唇をもぐもぐ動かしながら、「なれどもの、男に身を果された女はどうじゃ。まいてよ、女に身を果された男はの、泣こうてや。吼えようてや。」と、嘲笑うような声で云うのです。おのれ、お敏の体に指一本でもさして見ろ――と気負った勢いで、新蔵は婆を睨めつけながら、「女にゃ男がついています。」と、真向からきめつけると、相手は相不変手を組んだまま、悪く光沢のある頬をにやりとやって、「では男にはの。」と、嘯くように問い返しました。その時は思わずぞっとしたと、新蔵が後で話しましたが、これは成程あの婆に果し状をつけられたようなものですから、気味が悪かったのには、相違ありますまい。しかもそう問い返した後で、婆は新蔵のひるんだ気色を見ると、黒い単衣の襟をぐいと抜いて、「いかにおぬしが揣ろうともの、人間の力には天然自然の限りがあるてや。