Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ようば
妖婆
Lisez 妖婆 (ようば) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 37 473 caractères · 73 écrans
可愛い返事だぜ。平仮名で『しょうちいたしました』と書いてある――」と、得意らしく弁じ立てるのです。ところが今日は妙な事に、こう云う言葉の途中から、泰さんの声ばかりでなく、もう一人誰かの声がはいりました。もっともこの声と云うのも、何と云っているのだか、言葉は皆目わからないのですが、とにかく勢いの好い泰さんの声とは正反対に、鼻へかかった、力のない、喘ぐような、まだるい声が、ちょうど陰と日向とのように泰さんの饒舌って行く間を縫って、受話器の底へ流れこむのです。始めの内は新蔵も、混線だろうくらいな量見で、別に気にもしませんでしたから、「それから、それから。」と促し立てて、懐しいお敏の消息を、夢中になって聞いていました。が、その内に泰さんにも、この妙な声が聞えたのでしょう。「何だか騒々しいな。君の方かい。」と尋ねますから、「いや僕の方じゃない。混線だろう。」と答えますと、泰さんはちょいと舌打ちをした気色で、「じゃ一度切って、またかけ直すぜ。」と云いながら、一度所か二度も三度も、交換手に小言を云っちゃ、根気よく繋ぎ直させましたが、やはり蟇の呟くような、ぶつぶつ云う声が聞えるのです。