Classiques japonais avec furigana
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おんなけいず
婦系図
泉 鏡花
Lisez 婦系図 (おんなけいず) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 172 760 caractères · 343 écrans
早瀬の遺書は、酒井先生と、河野とに二通あった。
その文学士河野に宛てたは。――英吉君……島山夫人が、才と色とをもって、君の為に早瀬を擒にしようとしたのは事実である。また我自から、道子が温良優順の質に乗じて、謀って情を迎えたのも事実である。けれども、そのいずれの操をも傷けぬ。双互にただ黙会したのに過ぎないから、乞う、両位の令妹のために、その淑徳を疑うことなかれ。特に君が母堂の馬丁と不徳の事のごときは、あり触れた野人の風説に過ぎなかった。――事実でないのを確めたに就いて、我が最初の目的の達しられないのに失望したが、幸か、不幸か、浅間の社頭で逢った病者の名が、偶然貞造と云うのに便って、狂言して姉夫人を誘出し得たのであった。従って、第四の令妹の事はもとより、毒薬の根も葉もないのを、深夜蛾が燈に斃ちたのを見て、思い着いて、我が同類の万太と謀って、渠をして調えしめた毒薬を、我が手に薬の瓶に投じて、直ちに君の家厳に迫った。
不義、毒殺、たとえば父子、夫妻、最親至愛の間においても、その実否を正すべく、これを口にすべからざる底の条件をもって、咄嗟に雷発して、河野家の家庭を襲ったのである。