Classiques japonais avec furigana
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おんなけいず
婦系図
泉 鏡花
Lisez 婦系図 (おんなけいず) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 172 760 caractères · 343 écrans
床の間にしっとりと露を被いだ矢車の花は、燈の明を余所に、暖か過ぎて障子を透した、富士見町あたりの大空の星の光を宿して、美しく活っている。
見よ、河野が座を、斜に避けた処には、昨日の袖の香を留めた、友染の花も、綾の霞も、畳の上を消えないのである。
真砂町、と聞返すと斉しく、屹とその座に目を注いだが、驚破と謂わば身をもって、影をも守らん意気組であった。
英吉はまた火箸を突支棒のようにして、押立尻をしながら、火鉢の上へ乗掛って、
「あの、酒井ね、君の先生の。あすこに娘があるんだね。」
「あるさ、」と云ったが、余り取っても着けないようで、我ながら冷かに聞えたから、
「知らなかったかな、君は。随分その方へかけちゃ、脱落はあるまいに。」
「洋燈台下暗しで、(と大に洒落れて、)さっぱり気が付かなかった。君ン許へもちょいちょい遊びに来るんだろう。」
「お成りがあるさ。僕には御主人だ。」
「じゃ一度ぐらい逢いそうなものだった。」
何か残惜く、かごとがましく、不平そうに謂ったのが、なぜ見せなかった、と詰るように聞えたので、早瀬は石を突流すごとく、
「縁が無かったんだろうよ。」
「ところがあります、ははは、」