Classiques japonais avec furigana
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おんなけいず
婦系図
泉 鏡花
Lisez 婦系図 (おんなけいず) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 172 760 caractères · 343 écrans
しかも上品に衣紋正しく、黒八丈の襟を合わせて、色の浅黒い、鼻筋の通った、目に恐ろしく威のある、品のある、眉の秀でた、ただその口許はお妙に肖て、嬰児も懐くべく無量の愛の含まるる。
一寸見には、かの令嬢にして、その父ぞとは思われぬ。令夫人は許嫁で、お妙は先生がいまだ金鈕であった頃の若木の花。夫婦の色香を分けたのである、とも云うが……
酒井はどこか小酌の帰途と覚しく、玉樹一人縁日の四辺を払って彳んだ。またいつか、人足もややこの辺に疎になって、薬師の御堂の境内のみ、その中空も汗するばかり、油煙が低く、露店の大傘を圧している。
会釈をしてわずかに擡げた、主税の顔を、その威のある目で屹と見て、
「少いものが何だ、端銭をかれこれ人中で云っている奴があるかい、見っともない。」
と言い棄てて、直ぐに歩を移して、少し肩の昂ったのも、霜に堪え、雪を忍んだ、梅の樹振は潔い。
呆気に取られた顔をして、亭主が、ずッと乗出しながら、
「へい。」
とばかり怯えるように差出した三世相を、ものをも言わず引掴んで、追縋って跡に附くと、早や五六間前途へ離れた。
「どうも恐入ります。ええ、何、別に入用なのじゃないのでございますから、はい、」