Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こをうばう

子を奪う

豊島 与志雄

Lisez 子を奪う (こをうばう) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 292 caractères · 80 écrans

Aozora Bunko

「おかしな人ね。」と兼子が云った。「初めはあんなに躊躇していらしたくせに、今になって、どうしてそう性急なことを仰言るの?」

「僕の心がきまったからだ。」と彼は答えた。「心がきまった以上は、僕は是非とも依子を引取ってやる。向うで嫌だと云えば、奪い取っても構わない。……安心しきって下らない空想に耽ってるうちに、またどうなるか分らないじゃないか。その方を先に解決するのが第一だ。」

「では何を危ぶんでいらっしゃるの?」

彼は黙って兼子の眼を覗き込んだ。その眼は好奇の色に輝いていた。彼は不安な気持ちになった。見せてならないものを見せたような気がした。依子を愛することが、何で兼子に気兼ねする必要があろう? そうは考えてみたけれど、はっきりした形を取らない仄暗い不安が、何処からともなく寄せてきた。依子が来たら凡てよくなるだろう、と彼は自ら云った。そしてそれまでは、もう依子のことを口にすまいと決心した。

彼が黙っていればいるほど、兼子の眼は益々彼の内心へ向けられていった。彼はそれをはっきり感じた。

「眼が大きいそうですから、屹度あなたに似てる子に違いありませんわ。」と兼子は云った。