Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こをうばう

子を奪う

豊島 与志雄

Lisez 子を奪う (こをうばう) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 292 caractères · 80 écrans

Aozora Bunko

と彼は云った。

「そうでしょうね。兼子さんは、後で、お敏は明日の朝帰しますから、その後で届けたらと云っていますが、そうしましょうか。」

「それでいいでしょう。」

彼は投げ出すように云い捨てた。早くそんな話は切り上げたかった。嫌な気がした。二人が座敷の方へ行くのを見送って、役は暫く佇んでいた。それから二階へ上った。

話の底にはまだ自分の知らない、嫌な事物や手筈やが潜んでるように、彼には考えられた。そして、自身がなきけなくなった。あの時もそうだったが、此度のことでも、彼の意志は殆んど何等の働きをもしなかった。彼がただ一人で考え込んでるうちに、外部からすらすらと事は運んでいった。そして彼はただその後についてゆくの外はなかった。なぜか? と彼は反問してみた。然し答えは得られなかった。……彼は長い間机につっ伏していた。そうだ俺はただ依子を愛してやろう、そう最後に考えた。依子の小さな姿が眼の前に浮んだ。今どうしているだろうかとしきりに気に懸った。階下へ下りて行きたいのを我慢した。縁側の雨戸を閉める音が聞えた。終には堪えられなくなって、階段を下りていった。

依子は敏子の膝の上で、もう眠りかけていた。