Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lisez 季節のない街 (きせつのないまち) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 379 caractères · 394 écrans
女を見る平さんの眼が動かなくなり、女の表情が変った。色の白いちんまりとした顔から、静かに赤みが消えてゆき、若わかしくなまめいてみえたのが、つめたく乾いて、みるまにしぼみあがるように感じられた。
平さんはなにも云わず、向き直って外套をぬぎ、くたびれた茶色のピケ帽をぬいで、板の間へあがった。女はそっと土間の中を見まわした。洗面器や粉シャボンの罐や、なにかの壜の並んだ台の下に、バケツが二つあり、その台の反対側に低く棚が吊ってあって、そこには食器をいれた籠や、安全剃刀やシャボンの箱などが、きちんと置かれてい、下の段には蜜柑箱が三つと、ニュームの鍋などがあった。
女は包を板の間の端に置き、その中からしごきを出して襷にかけると、二つのバケツをしらべ、からになっている一つを提げて、小屋の外へ出ていった。
そして、女はそのまま小屋にいついた。
平さんは女に口もきかず、眼を向けようともしなかった。それは女の存在を無視するというのではなく、彼女が来たことも、同じ小屋にいることも、ぜんぜん現実ではないかのようであった。――女は水を汲み、めし拵えをし、掃除も洗濯もし、買い物もした。