Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lisez 季節のない街 (きせつのないまち) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 379 caractères · 394 écrans
晩めしが済むと、平さんは少し食休みをしたあと、およそ十時ころまでマットレスを編む。必要があるからではなく、時間つぶしのようで、仕事はあまりはかどらない。蝋燭の火で眼が疲れ、涙が出てくるようになると、織り機を片づけて寝る。――女はあと始末をし、平さんの脇で、薄い蒲団一枚にくるまって横になる。むろん蝋燭は消してしまうから、月夜でない限り小屋の中はまっ暗になる。平さんはときどき寝返りをうつが、いびきをかくようなこともめったにない。そしてやがて、女がすすり泣きをはじめるのだ。
草原を風が吹きわたるような、ひそかな声ですすり泣き、喉になにか詰ってでもいるような、かすれた囁き声で、とぎれとぎれに話しだすのであった。
「店のほうはうまくいってます、婿がよく働いてくれますから」と或る夜は云った、「よくできた婿で、あたしにもよくしてくれます、いまでもあなたの話がでると、うちへ来てもらおうって云うんです」
「あたしどうしたらいいの」と或る夜は云った、「家付き娘に生れて、わがままいっぱいに育ったから、罪なことも罪だとは知らなかったんです、とくべつに好きだからあの人とそうなったんでもなし、生んだのがあの人の子だということも、自分ではよくわからなかったんです、――それだけは信じてもらいたいんです」