Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Lisez 季節のない街 (きせつのないまち) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 379 caractères · 394 écrans

Aozora Bunko

百姓はこいつはうまい客だと思ったようすで、熱心にその鮒と鯉の説明をした。マダムはそれをしまいまで聞いてから、けろっとした顔で百姓に問いかけた。

「あんた塩鮭持ってない?」ちょろは誇張した作り声でいった。「いやきみ、そのときの百姓の顔ときたら」彼はとつぜん笑いだした、「生きた鮒と鯉を眼の前にして、さんざっぱら説明させておいて、あんたしおじゃけ持ってない?」とまでいえず、ちょろははじけたように笑いだし、ついにはまたひっくり返って笑った。

七代目の唇がほんのわずかに動いた。ちょろは笑いの鎮静しかかる中で、その七代目の唇のあるかなきかの動きを見てとり、笑いおさめながら坐り直した。

「きみ、この話聞いておかしくないかい、ばんくん」

ばんくんはじっくり内省してみてから、おかしいと答えた。そこで春彦はまたきいた。

「しかし笑うほどじゃないのか」

ばんくんはこんどは考えなかった。彼はそのことでは常に自戒していたようであった。

「ぼくは笑うのは好きじゃない」と彼はいった、「――くたびれるからね」

その翌日、土川春彦は出ていったまま、家へ帰らなかった。

ちょろはおちつきのない空想家で、飽きっぽい饒舌漢なのだ。