Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lisez 季節のない街 (きせつのないまち) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 379 caractères · 394 écrans
その「河馬」部長のおかげで、辰弥の収入は平社員より多いことがあるくらいだったし、英語学校でも、午後のクラスへかよえるようにしてもらえた。――弟の一人も就職したが、一人は新制中学の三年、妹は中学の一年である。弟たちには大学までやらせるつもりだったので、辰弥はけんめいに頑張ったが、少しゆとりができたころになると、兄がやって来て、僅かな貯金まで召上げられてしまう。この「街」へ移って来てから三度、今日は四たびめというわけであった。
「僕は母にないしょで、ほかに貯金をしていたんです」辰弥は恥ずかしそうに云った、「それは、どこかに家があったら、ここを出てゆきたいと思ってるからなんですが、――学校へいっている弟や妹のことを考えると、もう少しましな環境でくらしたいんです」
できればそうするほうがいいだろうね、たんば老人は呟くように云った。
兄が来たので、すぐに辰弥は家を出た。母が持っている金くらいなら、せびり取られてもしようがない。そういうきょうだいのいることは世間に例がないわけではなし、母はしょせん兄には勝てないのだから。けれども貯金のほうは絶対に困る、これだけは自分たち一家の将来に関する金なのだ、と辰弥は云った。