Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

いえ

家

島崎 藤村

Lisez 家 (いえ) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 141 411 caractères · 285 écrans

Aozora Bunko

十

車掌は飛んで来て相図の笛を鳴らした。正太は前の方へ曲み気味に、叔父をよく見ようとするような眼付をした。三吉も窓のところに、濡れ雫に成った鶏のようにションボリ立っていた。

「叔母さんにも宜しく……」

と正太が言う頃は、汽車は動き出していた。

停車場の灯、薄暗い人の顔は窓の玻璃に映ったり消えたりした。宿の方へ戻って行く正太の姿を、三吉は想って見た。「郷里へでも帰って静養したらどうです」と森彦の旅舎から帰りがけに甥に言った時、正太が首を振って、健気にも未だ戦おうという意気を示したことなぞが、三吉の胸にあった。正太の失敗も知らず、まして病気も知らず、彼一人に希望を繋いでいるような橋本の家の人達のことも浮んで来た。

「可哀想な男だ」

こう口の中で言って見て、長いこと三吉は窓のところに立っていた。

十

春が来た。正太の留守宅では、豊世と老婆と二人ぎりで、四月あまりも名古屋の方の噂をして暮した。豊世は十一月末に東京へ引返したので、駒形の家の方で女ばかりの淋しい年越をした。河の方へ向いた玻璃障子の外へは幾度となく雪が来た。石垣の下に見える物揚場の伊豆石、家々の屋根、対岸の道路などは、その度に白く掩われた。