Classiques japonais avec furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lisez 家 (いえ) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 141 411 caractères · 285 écrans
七度目の懐妊した身でいるお雪に取っては、この遽かにやって来た暑気が殊に堪え難かった。蒸されるような身体の熱で、三吉も眠ろうとして眠られなかった。夫婦は子供等のごろごろ寝ている側で、話しつづけた。正太のことを語り合った。勉やお福の噂もした。終には、自分等の過去ったことの話までも、それからそれと引出された。
お雪は横に成りながら、
「……私は、自分のことを考えますと、なんですかこう三人別のものがそこへ出て来るような気がします――極く幼少い時分と、学校に居た娘の頃と、それからお嫁に来てからと――三つずつ別々の自分じゃないかと思うような、まるでその間が切れちゃってるようなものです……私は子供の時分には、真実に泣いてばかりいるような児でしたからねえ……」真に心の底から出て来たような調子で、彼女は話した。
すこしトロトロしたかと思うと、復た二人とも眼が覚めた。
「お雪、何時だろう――そろそろ夜が明けやしないか――今頃は、正太さんの死体が壮んに燃えているかも知れない」
こう言いながら、三吉は雨戸を一枚ばかり開けて見た。正太の死体が名古屋の病院から火葬場の方へ送られるのも、その夜のうちと想像された。