Classiques japonais avec furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lisez 家 (いえ) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 126 748 caractères · 254 écrans
その時始めて、お種は夫の滞在地を知った。支那へ、とばかり思っていた夫はさ程遠くは行っていなかった。国に居る頃から夫が馴染の若い芸者、その人は新橋で請出されて行って、今は夫と一緒に住むとのことであった。
「大方、そんなことだらずと思った」
とお種は苦笑に紛したが、心の中には更に種々な疑問を起した。
八月には、お種は東京で三吉を待受けた。この弟に逢われるばかりでなく、久し振りで姉弟や親戚のものが一つ処に集るということは、お種に取って嬉しかった。豊世もまだ逢ってみたことの無い叔父の噂をした。
「橋本さんは是方ですか」
店頭の玻璃戸に燈火の映る頃、こう言って訪ねて来たのは三吉であった。丁度お種や豊世は買物を兼ねてぶらぶら町の方へ歩きに行った留守の時で、二階を貸している内儀が出て挨拶した。
三吉は自分の旅舎の方で姉を待つことにして、皆なと一緒に落合いたいと言出した。「では、御待ち申していますから、明日の夕方からでも訪ねて来るように」こう内儀に言伝を頼んだ。
やがて三吉は自分の旅舎を指して引返して行った。その夏、彼は妻の生家の方まで遠く行く積りで、名倉の両親を始め、多くの家族を訪ねようとして、序に一寸東京へ立寄ったのであった。