Classiques japonais avec furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lisez 家 (いえ) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 126 748 caractères · 254 écrans
奉公人の中には、二代、三代も前からこうして通って来るのも有る。この人達は、普通に雇い雇われる者とは違って、寧ろ主従の関係に近かった。
裏の畠で働く百姓の隠居も、その時手拭で足を拭いて、板の間のところにカシコマった。
「さあ、やっとくれや」
と達雄は慰労うように言った。隠居は幾度か御辞儀をして、「頂戴」と山盛の飯を押頂いて、それから皆なと一緒に食い始めた。
「三吉」とお種は弟の方を見て、「田舎へ来て物を食べると、子供の時のことを思出すでしょう。直樹さんやお前さんに色々食べさせたい物が有るが、追々と御馳走しますよ。お前さんが子供の時には、ソラ、赤い芋茎の御漬物などが大好きで……今に吾家でも食べさせるぞや」
こんなことを言出したので、主人も客も楽しく笑いながら食った。
お種がここへ嫁いて来た頃は、三吉も郷里の方に居て、まだ極く幼少かった。その頃は両親とも生きていて、老祖母さんまでも壮健で、古い大きな生家の建築物が焼けずに形を存していた。次第に弟達は東京の方へ引移って行った。こうして地方に残って居るものは、姉弟中でお種一人である。
「お春、お前は知るまいが」とお種は久し振で弟と一緒に成ったことを、下婢にまで話さずにはいられなかった。