Classiques japonais avec furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lisez 家 (いえ) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 126 748 caractères · 254 écrans
三吉は自分の仕事の纏まるまで残った。
旧暦の盆が来た。橋本では、先代からの例として、仏式でなく家の「御霊」を祭った。お種は序に小泉の母の二年をも記念する積りであった。年を経るにつれて、余計に彼女はこういうことを大切にするように成った。
墓参りの為に、お種は三吉を案内して、めずらしく家を出た。お仙は母に言付けられた総菜の仕度をしようとして、台所の板の間に俎板を控えて、夕顔の皮を剥いた。干瓢に造っても可い程の青い大きなのが最早裏の畠には沢山生っていた。
「お春、お前の髪は好く似合う」
とお仙は、流許に立って働いている下婢の方を見て、話しかけた。
「そうかなし」とお春は振向いて、嬉しそうな微笑を見せた。「貴方の島田も恰好が好く出来た」
お仙も嬉しそうに笑って、やがて夕顔を適当の厚さに切ろうと試みた。幾度か庖丁を宛行って、当惑したという顔付で、終には口を「ホウ、ホウ」言わせた。復た、お仙は庖丁を取直した。
何程の厚さに切れば、大略同じ程に揃えられるか、その見当がお仙には付きかねた。薄く切ってみたり、厚く切ってみたりした。彼女の手は震えて来た。
お春はそれとも気付かずに、何となく沈着かないという様子をして、別なことを考えながら働いていた。