Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
こむらたんさい
小村淡彩
宮本 百合子
Lisez 小村淡彩 (こむらたんさい) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 488 caractères · 23 écrans
下駄の音がする度に、皆がひとりでに店から往来の方を見た。――九時になり、十時になった。雨も歇んだ。
ろくが、相変らずのたりのたりとした様子で帰って来たのは、かれこれ十一時という時刻であった。それもよいが、翌日になって、思いがけないことが知れた。ろくは、昨日山科からのかえり、途で見も知らぬ一人の土方に出会った。どっちが先に挨拶したか、それこそ道傍の草しか知らないが、土方はろくに、女房にしてやるから来いと云った。ろくは、それなりその男とあの時分までいて来たのであった。土方は別れるとき、また明日も来いと云った。正直なろくは、ちゃんと約束を守って、前日と同じ場処に行って見た。土方は何処にもいない。彼女は深く失望した。一人で黙っていられないぐらい失望した。それで、せきに打開けたのであった。
いしは、せきからこれを聞くと、さすがに、
「本当かい」
と顔じゅうを伸した。
「見な! それだもの。……どこの国にお前女房にしてやるったって、いきなりそんな……だが土方の奴」
いしは、いい気味そうに笑い出した。
「却ってびっくりしやがっただろう。あのこのこったから、きっと、今直ぐ女房にしてお呉れとでも云ったんだよ、馬鹿馬鹿しい!」