Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

やねうらのさんぽしゃ

屋根裏の散歩者

江戸川 乱歩

Lisez 屋根裏の散歩者 (やねうらのさんぽしゃ) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 28 862 caractères · 57 écrans

Aozora Bunko

……もう彼は動かないのです。グッタリと枕をはずした顔に、我々の世界のとはまるで別な、一種のほほえみが浮んでいます。彼は遂に、所請「仏」になって了ったのでしょう。

息をつめ、手に汗を握って、その様子を見つめていた三郎は、始めてホッとため息をつきました。とうとう彼は殺人者になって了ったのです。それにしても、何という楽々とした死に方だったでしょう。彼の犠牲者は、叫声一つ立てるでなく、苦悶の表情さえ浮べないで、鼾をかきながら死んで行ったのです。

「ナアンダ。人殺しなんてこんなあっけないものか」

三郎は何だかガッカリして了いました。想像の世界では、もうこの上もない魅力であった殺人という事が、やって見れば、外の日常茶飯事と、何の変りもないのでした。この鹽梅なら、まだ何人だって殺せるぞ。そんなことを考える一方では、併し、気抜けのした彼の心を、何ともえたいの知れぬ恐ろしさが、ジワジワと襲い始めていました。

暗闇の屋根裏、縦横に交錯した怪物の様な棟木や梁、その下で、守宮か何ぞの様に、天井裏に吸いついて、人間の死骸を見つめている自分の姿が、三郎は俄に気味悪くなって来ました。