Classiques japonais avec furigana
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
Lisez 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) de 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 284 014 caractères · 565 écrans
聞けば一万二千町歩に近い秩父の森林は、既に東京、横浜其他の富豪に買収され、殊に奇峭を誇る両神山の如きは、殆んど全山を挙げて二、三者の所有に帰して了った相である。上武鉄道が間もなく大宮まで達するの日は、やがて秩父山林の荒廃という大悲劇が、森林伐採の序幕を以て開かれるのではあるまいか。土地の人は鉄路の延長に依て得らる可き運輸の便利をひたすらに喜んでいるが、石炭の烟は自然を破壊する恐る可き勢力の先駆者であることを忘れている。想うに今日の秩父は、渓流の澄と森林の蓊鬱と景趣の幽邃とに於て、其権威の絶頂にあるものである。そしてこの幽邃とこの蓊鬱とこの澄※(「轍」の「車」に代えて「さんずい」、第3水準1-87-15)とを奪われた惨ましい秩父山岳の姿は、遠からず濁った水と「石の洪水」とに悩まなければならない秩父の住民が、知らずに犯した罪の報の余りに酷いのに慄れ戦きつつも、反て其苦痛を緩和する唯一剤として、朝夕に仰ぎ視るようになるのであろう。
「雲取山頂より西望」のキャプション付きの図
雲取山頂より西望
前置が長くなった。急いで本文に取り掛るが、其前に尚お一言を費したい。