Classiques japonais avec furigana
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
Lisez 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) de 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 284 014 caractères · 565 écrans
尤も東破風だけで西破風は終に見分が付かなかったが、雲取山から写した辻本君の写真から推して、西破風も見えるに相違ないという断定だけは付けられる。
正十二時に頂上を辞して西に向って下り始める。一歩蹈み出すと足は釘付けにされて、驚異にった眼のみが空しく其辺をさ迷うに過ぎない。巨大な岩塊の堆積した同じ様な斜面は、灌木状の針葉樹を同じ様に粧うて、傾斜が同じ様に急である。蓬勃たる霧の海は汐のさし引きするように音もなく押し寄せては音もなく退いている。強くはないが冷い西北の風が山頂より吹き下ろして、霧が薄らぐと二、三百米もあろうと思われる緑の斜面が遥かの下まで続いて、末は何処にどういう風に連なっているか其処までは目が届かない。右の方に尾根らしいものがちょいちょい姿を見せる。しかし是は松葉沢の源頭に当るものらしい。二人で左右に別れて切明けの跡を探した。盆栽でよく見かける恰好のいい黒槍の一尺ほどのものが、棕梠縄で枝を撓められたまま岩間に生えている。植木屋の仕業に相違あるまい。やがて掘り取られる運命を持っているのかと思うと可哀想になって人には気の毒であるが、目に付いたものは悉く解放してやった。