Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
やまのてのこ
山の手の子
水上 滝太郎
Lisez 山の手の子 (やまのてのこ) de 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 15 551 caractères · 31 écrans
家内の者は何かしら気忙しそうに、物言いも声を潜めるようになり相手をしてくれることもなくなった。私の乳母さえも年役に、若い女のともすれば騒ぎたがるのを叱りながらそわそわ立ち働いていて私をば顧みることが少なくなった。出産の準備に混乱した家の中で私は孤独をつくづく淋しいと思った。お祖母様のお気に入りで夜も廊下続きの隠居所に寝る姉も、そのころ習い初めた琴を弾くことさえ止められて、一人で人形を抱えては、遊び相手を欲しがって常は疳癪を恐れて避けている弟をもお祖母様の傍に呼んで飯事の旦那様にするのであったが、それもじきと私の方で飽きが来てふとしたことから腕白が出ては姉を泣かすのでお祖母様や乳母に叱られる種となった。腕白盛りの坊ちゃんは「静かにしていらっしゃい」と言われて人気の少ない、室の片隅に手遊品を並べてもしばらく経つと厭になって忙しい人々に相手を求めるので「ちっとお庭にでも出てお遊びなさい」と家の内から追い立てられる。
黒土の上に透き間もない苔は木立の間に形ばかり付いていた小道をも埋めて踏めばじとじとと音もなく水の湧き出る小暗い庭は、話に聞いたいろいろの恐ろしい物の住家のように思われ、自由に遊び廻る気にはなれないので縁近いところでつまらなくすくんでいた。