Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ぎゅうじん
山月記・李陵 他九篇
Lisez 山月記・李陵 他九篇 (ぎゅうじん) de Nakajima Atsushi (中島 敦) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 41 608 caractères · 84 écrans
去年の大晦日の晩、それは白々とした良い月夜だったが、私たちは――H氏と私とマリヤンとは、涼しい夜風に肌をさらしながら街を歩いた。夜半までそうして時を過ごし、十二時になると同時に南洋神社に初詣でをしようというのである。私たちはコロール波止場の方へ歩いて行った。波止場の先にプールが出来ているのだが、そのプールの縁に我々は腰を下した。
相当な年輩のくせにひどく歌の好きなH氏が大声を上げて、色んな歌を――主に氏の得意な様々のオペラの中の一節だったが――唱った。マリヤンは口笛ばかり吹いていた。厚い大きな唇を丸くとんがらせて吹くのである。彼女のは、そんなむずかしいオペラなんぞではなく、大抵フォスターの甘い曲ばかりである。聞きながら、ふと、私は、それらが元々北米の黒人どもの哀しい歌だったことを憶い出した。
何のきっかけからだったか、突然、H氏がマリヤンに言った。
「マリヤン! マリヤン!(氏がいやに大きな声を出したのは、家を出る時ちょっと引掛けて来た合成酒のせいに違いない)マリヤンが今度お婿さんを貰うんだったら、内地の人でなきゃ駄目だなあ。え? マリヤン!」
「フン」